さて、3月中旬までの所得税の確定申告時期。
今年、私は今までとは違う過ごし方をしていました。
事業所得、不動産所得を有する個人の方の相談を受けながら
その場で青色申告決算書と所得税の申告書を作成し税額計算していく。
ある時はこれに会計ソフトの決算入力から、消費税の集計・申告書作成まで加わる。
申告時期にご本人の前で作成した申告書はおよそ300人分弱。
そこで関わった申告書に敬意を表し、改めて所得税の青色申告制度について触れたいと思います。
まず所得税の青色申告制度の適用があるのは不動産所得、事業所得、山林所得の生ずる個人です。
その青色申告制度の適用を受けた場合の特典、最初に青色申告特別控除について
① 不動産所得又は事業所得の生ずる個人事業者が、複式簿記による帳簿に全ての取引を記録し
これに基づいて作成した貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して確定申告期限までに
提出した場合、不動産所得・事業所得の所得金額から最高65万円を控除できます。
※その所得の金額がゼロになるまでが限度
※不動産所得と事業所得の両方を生ずる場合は、まず不動産所得から控除し
控除しきれなかった金額がある場合はその残りの金額を事業所得から控除する。
例)不動産所得の金額が28万円、事業所得の金額が70万円の場合
不動産所得 28万円 - 28万円 = 0
事業所得 70万円 - (65万円 -28万円) = 33万円
② ⅰ 65万円控除の適用を受けない不動産所得又は事業所得の生ずる個人事業者
ⅱ 不動産所得及び事業所得の金額を現金主義により計算することとした個人事業者
ⅲ 不動産所得のみを有し、その不動産の貸付が事業的規模でない個人事業者
ⅳ 山林所得の生ずる個人事業者
上記の個人事業者については不動産所得・事業所得・山林所得の所得金額から最高10万円を
控除できます。
※その所得の金額がゼロになるまでが限度
※上記の所得のうち、複数の所得を生ずる場合は不動産所得→事業所得→山林所得の順で
控除する。
万が一、期限後申告になった場合、65万円控除を受けられませんが10万円控除は可能です。
逆に期限後に65万円控除を適用した申告書を提出した場合は10万円控除で計算し直した
修正申告書を提出する必要があります。
また当初確定申告書を10万円の特別控除を受けないとして提出した場合でも、更正の請求により
10万円の特別控除の適用を受ける事ができます。
不動産の貸付が事業的規模でない場合でも、その個人が事業所得を生じる事業を併せて営むときは
65万円控除の適用を受ける事ができます。
参考:所得税法第143条、第148条、第149条
所得税基本通達143-1
租税特別措置法第25条の2
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