さらに引き続き個人事業者がポイントカードを利用して事業用資産を購入した場合について
今回はポイントを、ポイント発行会社から贈与された(資産を得た)と考えるケースです。
これは以前に触れたエコポイント制度についての課税と同じ考え方です。
事業用資産を購入して得たポイントを次回の事業用資産の取得に使ったケースを仕訳してみます。
10%のポイントを付与されるとして
ポイント取得時 消耗品費 2,000 / 現金 2,000
ポイント 200 / 雑収入(受贈益) 200
ポイント使用時 消耗品費 180 / ポイント 180
ポイント期限切れ ポイント失効損 20 / ポイント 20
実務上、発生時にポイントを記帳したり、行使されなかったポイントを損失計上する様な
管理はほぼされていませんし、処理も煩雑です。
そこでポイントの使用時に、使用した分だけ贈与されたと考え
ポイント使用時 消耗品費 180 / 雑収入(受贈益) 180
ところで、個人のポイントカードなので、事業用資産の取得だけでなく
同じカードで個人の資産(家事用資産)に関するポイント取得や行使がある事も想定されます。
ポイント取得を受贈と捉える考え方からすると、家事用資産購入によるポイントの受贈は
事業者ではない個人同様で法人からの贈与により取得する金品として一時所得の収入金額となり
事業ではないので仕訳はありません。
このポイントで事業用資産を購入した場合の仕訳は
消耗品費 180 / 事業主借 180
逆に事業用資産購入により得たポイントで個人の資産を購入した場合は、家事消費として
事業主貸 180 / 雑収入(受贈益) 180 と仕訳すべきでしょう。
ポイントに関する会計処理の基準が定まっていないため、上記の処理はあるべき論ですが
発生と使用の件数が限られていて捕捉しやすいエコポイント制度と異なり
日常的なポイントの発生態様や使用目的を管理しなければ処理ができなくなるという煩雑さや
「このポイントは家事用資産の購入で得た」と主張することによって経費だけを計上するといった
所得金額の恣意的操作の恐れといった問題点があることを考慮すると
私は現状ではポイントカードにこの考え方を採るのは難しいかなと思います。
会計基準と税法上の取り扱いが決まるとスッキリするんですけどねぇ。
まだコメントはありません。